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俺がオマエで、お前がオレで〈第12章〉

 〜 奏馬(らいが)〈4〉〜       

苦労したにも関わらず、何も変わってなくてオレは落胆していた。やっぱもう奏馬として生活していくしかないのか?と考え始めた頃には、夏合宿最終日になっていた。今日は記録会が行われる。水泳大会の最終選考の意味もあって、皆の気合が入る日だ。

オレ自身は練習を見守るしか出来なかったが、雷牙(そうま)はみっちりとトレーニングを積んでいたようだ。この後は合宿の総決算として、予定通りに代表選手によるメドレーリレーが行われることになっている。アイツも出場するけど大丈夫だろうか?

リレーがスタートしてどんどん泳者が変わっていく。次はいよいよアイツの出番だ。でも小刻みに震えてるのが遠くからでも見て取れた。オレは歩み寄って声をかける。「オマエならやれる!全力出してけっ!」背中をバシッと叩くと、アイツの顔つきが変わったんだ。「おう…行ってくる」

ここまで2チームの差はだいぶ開いていた。前泳者からのタッチを受けて、アイツが飛び込んだ後はどんどん追い込んでいき、その差を詰めていく。ストップウォッチの数字はオレのベストタイムを余裕で上回っていた。すげぇぞ、アイツ…。

圧倒的な速さでゴールしたアイツが水面に顔を出すと、部員たちの歓声は破れんばかりになっていた。「雷牙、オマエすげーよ。圧勝だぜ!」「後半すげぇ伸びて、お前のタイム大幅更新だぞ」オレ〈雷牙〉への称賛だったが、メチャ悔しくなってきた。

皆に祭り上げられたアイツは飛び込み台の上に立ってパフォーマンスしている。アレ…オレが調子に乗った時にやってるやつだ…。でもあんなに誇張してやってんのかよ?なんか恥ずかしくなってきたのでオレはそれを止めようとして、そっと近づいた。

アイツが背中を見せて拳を突き上げる格好をした時に、バランスを崩して倒れそうになった。「あぶねえ!」咄嗟にオレは腕を伸ばして手を掴んでいた。いつもの自分〈雷牙〉の身体なら余裕で引っ張り上げることが出来たはずだが、今は奏馬の身体だ。

一旦は引っ張り上げられそうになったが、ヤツの体重の方が重たくて持っていかれる。もう片方の手で水着の腰部分を掴み、さらに指を掛けて引っ張った。けど、ヤツの体重を支えきれず、もろともにダイブしてしまう。「やべぇ!」身体が投げ出されたと思ったら、ザブンッ!水面に落ちた音が聞こえた。続いて頭に凄い衝撃がきた。あ!うーん…。

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目が覚めたらプールサイドに寝かされていた。頭が痛てぇ…。目をパチパチと瞬きしていたら、誰かが覗き込んでくる。誰だよ…?じっと見つめるとそこにあったのは、奏馬の顔だった。「おい、雷牙!気が付いたか?」らいが…?オレ…のことか?

腕を動かして胸板を触ってみる。筋肉質な盛り上がりを感じた。ツンと立った乳首に指が当たると感じてしまう。「あっ…」そのまま腹筋を撫で下ろすとボコボコに割れたインナーマッスルを感じることが出来た。え?!オレの身体?…元に戻ったのか?

身体を起こして立ち上がると、部室のガラス窓を覗きこむ。そこに写っていた姿は、オレ〈雷牙〉だったんだ。「やった!元に戻ってるぞ!」オレは両手を上げて、その場で飛び上がって喜んだ。

すると周りから笑い声が聞こえてきた。「雷牙先輩、裸でなにやってんすか(笑)」「え?なんだ?」股間を確認すると、競パンを穿いてるつもりだったのに、日に焼けていない白い肌とチンポが丸出しだった。「うぇ!」オレは慌てて手で隠す。

そしたら、蛍光イエローの競パンが投げつけられた。「おい、自己新、出して嬉しいからって、羽目を外しすぎんなよ!誰もお前のヌードなんて見たくないからな」奏馬もこっちを見て笑っていたんだ。

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